呪的逃走(昔話話形313)のあらすじと、筋書きのアレンジ

昔話の話型「呪的逃走」のご紹介です。

そだひさこがこの話型を再構成した筋書きもご紹介しています。私は昔話をアレンジする遊びが好きなのですが、作品にできないまま誰にも楽しんでもらえないのが忍びなくて。

ご自身の創作の試案にしたり、この筋書きをそのまま使って作品を作ったりなど、ご自由にお使いください。私自身もそのうちこれで作品をかきます。

そだひさこ
そだひさこ

こんな顔でごめんなさいね。

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魔法昔話の話型:呪的逃走

登場者たちと、とくべつな品物

  • ワシ
  • 巨人
  • 若者(生まれてきた子ども)
  • デーモンの娘
  • 少女たち(白鳥たち)
  • 皮膚病にかかった王
  • 王の娘
  • 外国の王子
  • 魔法によって口をきく物
  • ふたりの子ども
  • 魔女
  • ほかの女

あらすじをタイムラインで

この話型では、3つの導入パターンが、2つの主部「呪的逃走」「忘れられた婚約者」に結びついています。

「導入1」のあらすじ
  • 傷ついたワシを男が保護する

    ワシは男に箱を与える。家に着くまで箱を開けてはならない。

  • 男は禁を破り、箱を開ける

    箱を開けると城があらわれる。箱を閉じるのを巨人が手伝い、男は巨人に自分の息子を与えなければならなくなる

  • 若者は脅され、不可能な課題を課される
  • 巨人の娘が若者を助ける

    不可能な課題は娘の助けで成し遂げられる。そして若者が娘と結婚するには、娘と瓜二つな女たちの中から本物を選ばなければならない

「導入2」のあらすじ
  • 白鳥たちが衣を脱いで少女になり湖で水浴びをしている

    若者が白鳥の衣を盗む。

  • 衣を盗まれた少女は若者との結婚に同意する

    少女は若者を自分の父親の家に連れていく

「導入3」のあらすじ
  • 重い皮膚病(疥癬)にかかった王が、外国の王子を捕まえる

    王子の血で病気が治ると期待する。王子は40日間菓子の食事をさせられる

  • 王の娘が、外国の王子に恋をする

「主部:呪的逃走」のあらすじ
  • 娘は若者と一緒に逃げる

    娘は魔法の力を使う。父親を欺くために、口をきく物を残してくる。

  • 父親が追ってくる

    逃亡がばれて、娘は自分と若者を3回変身させながら逃げる。(または物を投げるとそれが父親の障害物になってくれる)

  • 3回目の変身のあと、父親はあきらめざるをえなくなる

    または死ぬ

呪的逃走の類話では、ふたりの子どもが魔女から逃げる。

「主部:忘れられた婚約者」のあらすじ
  • 若者は婚約者を残して故郷をたずねる

    婚約者は若者に「誰かにキスをしないように」禁令を課す。しかし若者は禁令を破り、婚約者のことを忘れてしまう

  • 若者がほかの女と結婚しようとしている

    婚約者はまさにそのとき、魔法的な行為で若者の記憶を呼び覚ます。

  • 若者は婚約者と結婚する

国際昔話話型カタログ p.164-165 「313. 呪的逃走」を参照し、まとめました。

登場者、アイテム、方法などのバリエーション

講談師
講談師

昔話では、登場者やアイテムや方法は語り伝えられている土地によって色々に変化しています。
同じような出来事が、登場者やアイテムや方法を変えて、その土地の人々の文化や心にしっくりする形に変化しながら語り継がれたようです。

同じ役割をする登場者やアイテムや方法」などのバリエーション(カタログに記載のあるもの)をここでご紹介します。

バリエーション

  • ワシ → ワシの親族
  • 巨人 → デーモン、悪魔
  • 不可能な課題 → 不可能な3つの課題(1晩で城を建てる、ふるいで池の水を汲み出す、ガラスの斧で森を切り倒す、魔法の馬をつかまえる)
  • 娘と瓜二つな女たち → 娘の姉妹たち
  • デーモン → 王
  • 魔法によって口をきく物 → つば、血
  • 娘と若者が変身するもの → バラとイバラのやぶ、教会と司祭、湖とカモ
  • 投げると追跡者の邪魔をするもの → 櫛、ブラシ、鏡など
  • ふたりの子ども → 兄と妹
  • 魔女 → デーモン、竜、鬼、魔女、オオカミ、悪い継母
  • 誰かにキス → 何かを食べ
  • 魔法的な行為 → 3人の求婚者を恥ずかしい状況におく、花嫁の馬車を動けなくする、鳥が若者に彼女が救済者であることを思い出させる、花嫁から3晩の新婚の床を買い彼の記憶を呼び覚ます

この他にも土地や語り手により、登場者やアイテム、方法や結果に色々変化があるかと思います。

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ちょっとアレンジしてみた

導入1を採用。父親役を「鬼」にした(鬼の娘というのが変な感じになるけど、鬼に捕らわれていた娘とかにすればOKかと)。登場者に「鳥」を追加。「キスをしないように」ではなく「何かを食べないように」を採用。日本人の文化だと食べるのほうが扱いやすい。

「呪的逃走」のアレンジ
  • 若者が鬼のところに行かねばならなくなる

    鬼は若者を脅し、3つの不可能な課題を課せられる

  • 鬼の娘が若者を助ける

    鬼の娘は鳥を連れている。鬼の娘の力で不可能な課題をクリアする。怒った鬼が娘と若者を襲い、ふたりは逃げる

  • 呪的逃走により、ふたりは逃げ切る

    娘は自分たちを3回変身させ、次には物を投げて3回鬼の邪魔をし、ついに鬼は死ぬ

  • ふたりは結婚の約束をする

    若者は結婚を前に、故郷の両親をたずねたがる。娘は若者に、何かを食べないようにと禁を課す。

  • 若者は禁じられていたものを食べ、娘のことを忘れてしまう

    母親は若者の結婚の世話をする。若者は娘ではないほかの女と結婚式をあげようとしている。

  • 娘は若者に自分のことを思い出させる

    娘の鳥が若者の記憶を呼び覚ます。若者は本当の婚約者と結婚する

日本の昔話だと「三枚のおふだ」が呪的逃走にあたるそうです。

導入部がいろいろあるし、バリエーションも多い。組み合わせによって、全く違う雰囲気の物語が出来上がりそう。昔話の面白さの理由の1つは、こういうところだと思います。

そして、「まさにそのとき」「ちょうどそのとき」というのも昔話の特徴です。「若者がほかの女と結婚しようとしているまさにそのとき、」っていう。

昔話は堂々とした「嘘話」なので、こういうものも面白さとして受け入れられるんだと思います。現代リアルなドラマでこれをされたらご都合主義になりますからね…

アレンジした筋書き(プロット)、どうぞ作品にお使いください

あまり上出来とは言えない再構成ですが、この筋書きを楽しんで、さらにご利用いただけたら嬉しいです。ご自身の小説やマンガなどのたたき台にしたり、またはこの筋書きをそのまま使って作品に仕上げたりなど。

私はこんなことをただ好きでやっています。筋書きというものはきちんと作品にしなければ見てもらえない。でも作品にできるのはほんの少し。作品にできなかった筋書きは私の手元だけに残ります。それってなんか寂しい。(素材が大好きな「昔話」だからそう思うのかも。)

それよりも、こうして公開することで楽しんでもらえるなら、筋書きのままでもいいんじゃないかな…。それに、作品にするのはしんどいです。元気で時間のあるときにしかできません。(いちばんの本音はここですね。笑)

筋書きなんかを公開する理由はこんな思いからです。なので、ご遠慮なくどうぞ。もし本当に作品のきっかけとして使っていただけたら幸せです。

ただ1点、筋書きを文章そっくりそのまま転載することはおやめください使っていいのは筋書きの内容だけです。どうぞご了承ください。

話型の情報

国際昔話話型カタログ 分類と文献目録を参考に記事を書いているので、カタログの話型を記しておきます。

話型カテゴリ魔法昔話>超自然の敵
話型No.313
話型タイトル呪的逃走
一般的なタイトル
日本に類話は?ある

参考文献(出典)

国際昔話話型カタログ 分類と文献目録
ハンス=イェルク・ウター 著
加藤耕義 訳
小澤俊夫 日本語版監修
小澤昔ばなし研究所

他は概要をご覧ください。

まとめ

昔話の話型「呪的逃走」をご紹介し、そだひさこアレンジの筋書きも添えました。少しでもお暇つぶしになれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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