いなくなった妻を捜す夫(昔話話型400)のあらすじと、筋書きのアレンジ

昔話の話型「いなくなった妻を捜す夫」のご紹介です。3つの異なる型があります。

そだひさこがこの話型を再構成した筋書きもご紹介しています。私は昔話をアレンジする遊びが好きなのですが、作品にできないまま誰にも楽しんでもらえないのが忍びなくて。

ご自身の創作の試案にしたり、この筋書きをそのまま使って作品を作ったりなど、ご自由にお使いください。私自身もそのうちこれで作品をかきます。

そだひさこ
そだひさこ

こんな顔でごめんなさいね。

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魔法昔話の話型:いなくなった妻を捜す夫

登場者たちと、とくべつな品物

  • 苦境に陥った男
  • 息子
  • 悪魔
  • 姫(魔法にかけられてヘビに変えられた)
  • 息子の両親
  • 家へと運んでくれる指輪
  • 3人の隠者
  • 3人の巨人
  • 魔法の品(魔法の剣、魔法の外套または頭巾、7マイルブーツ)
  • ほかの男
  • 召使い
  • ガラス山
  • 若者
  • 美しい乙女(鳥が羽毛のコートを脱ぐと美しい乙女になる)
  • 羽毛のコート
  • 男の母親
  • 子どもたち

あらすじをタイムラインで

3つの異なる型があります。

「いなくなった妻を捜す夫:1」のあらすじ
  • 苦境にある男が、息子を悪魔にやると約束する

    息子は魔法で守られていて悪魔は手出しができずあきらめる

  • 少年は海に出されて異国に着く

    異国の地で城を見つけ、そこで魔法にかけられた姫に出会う。少年は3晩の責め苦に耐えて姫を救う

  • 少年は姫と結婚する

    夫は自分の両親をたずねる。妻は夫を家に運ぶ指輪を与え、これで自分を呼び出すことを禁ずる

  • 夫が禁を破る

    妻に指輪を取り上げられて貧困の中に残される

  • 全型共通部分
    夫は妻を捜しに行く

    途中で3人の隠者に道をたずね、3人めの助けで妻のもとに着く。(または、魔法の品をめぐり争う3人の巨人をだましてそれらを手に入れ、それらを使って妻のもとに着く)

  • 妻は他の男と結婚しようとしている

    夫は妻に、自分が本当の夫であることを明かす

「いなくなった妻を捜す夫:2」のあらすじ
  • 魔法を解くところまで(1)と同様

    しかし完全に解けない

  • 姫は自分の国に戻りたがる

    姫は若者に、自分と合うための時間と場所を教える。姫は3回現れるが、召使いが若者を眠らせてしまう。姫は手紙を書き、どこで自分を見つけられるかを若者に知らせる

  • 若者は姫を捜しに出かける

    (1)のように続く

「いなくなった妻を捜す夫:3」のあらすじ
  • 若者は、鳥たちが羽毛のコートを脱いで美しい乙女になるのを見る

    乙女たちが水浴びをしているすきに、若者は一番美しい乙女の羽毛のコートを盗む

  • 乙女は帰れなくなり、若者と結婚しなければならない

  • 乙女は若者が隠していたコートを見つけ、飛び去る

    乙女は夫に自分の行き先(異界)を教える

  • 夫は妻を捜しに出かける

    (1)のように続く

国際昔話話型カタログ p.193-194 「400. いなくなった妻を捜す夫」を参照し、まとめました。

3番目の型は、日本の「羽衣」に似ています。しかし日本の話のほとんどでは、妻が行き先を教えて夫が妻を捜しにいく、ということはありません。

登場者、アイテム、方法などのバリエーション

講談師
講談師

昔話では、登場者やアイテムや方法は語り伝えられている土地によって色々に変化しています。
同じような出来事が、登場者やアイテムや方法を変えて、その土地の人々の文化や心にしっくりする形に変化しながら語り継がれたようです。

同じ役割をする登場者やアイテムや方法」などのバリエーション(カタログに記載のあるもの)をここでご紹介します。

バリエーション

  • 苦境に陥った男 → 貧困に陥った漁師、商人
  • 海 → 川、砂漠
  • ヘビ → 鹿
  • 姫 → 乙女、妖精
  • 妻を呼び出すことを禁じる → 妻の美しさを自慢することを禁じる
  • 禁令を破らされる → 母親によって禁令を破らされる
  • 3人の隠者 → 動物王国の支配者たち、月と太陽と風
  • 魔法の品 → 遺産、略奪品
  • 召使い → 魔女
  • 夫に知らせる → 夫に手紙で知らせる
  • 鳥 → 白鳥、カモ、ガチョウ、ハト
  • 男の不注意 → 男の母親の不注意

この他にも土地や語り手により、登場者やアイテム、方法や結果に色々変化があるかと思います。

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ちょっとアレンジしてみた

「いなくなった妻を捜す夫:1」のアレンジ
  • 苦境にある男が、息子を悪魔にやると約束する

    息子は魔法で守られていて悪魔は手出しができずあきらめる

  • 少年は海に出されて異国に着く

    異国の地で城を見つけ、そこで魔法にかけられた姫に出会う。少年は3晩の責め苦に耐えて姫を救う

  • 少年は姫と結婚する

    夫は自分の両親をたずねる。妻は夫を家に運ぶ指輪を与え、これで自分を呼び出すことを禁ずる。また、妻の美しさを自慢することも禁ずる

  • 夫が禁を破る

    怒った妻に指輪を取り上げられて貧困の中に残される

  • 夫は妻を捜しに行く

    途中で3人の隠者に道をたずね、3人めの助けで妻のもとに着く

  • 妻を見つける。妻は姿を変えている

    妻はまだ怒っている。夫は妻の怒りを静めなければならない。妻が難題を課す(怒りのあまり、夫が命を無くしそうな難題を課す)

  • 夫は命をなくしそうになる

    難題を果たす途中で夫は死にそうになる。妻は怒りを静め、夫を助ける

1のアレンジ。夫が妻を見つけても、すぐに元通りというわけにはいかないわよっていう。姫はものすごく美しいのだけど、それゆえのコンプレックスもあり(皆が外見しか見てくれない)、夫の態度に怒りが爆発する。そして自分の姿を美しくなく変える。それでも夫が命をかけてくれるので、妻は気持ちを改める。

「いなくなった妻を捜す夫:3」のアレンジ
  • 若者は白鳥が衣を脱いで美しい乙女になるのを見る

    乙女が水浴びをしているすきに、衣を盗む

  • 乙女は帰れなくなり、若者と結婚しなければならなくなる

    若者が結婚してくれと要求する。しかし若者が衣を持っているので、取り返すチャンスを待って一緒にいる必要がある

  • 乙女は若者を好きになってしまう

    夫は、衣を盗む以外のことはすべて良い人であった(信じられない!)。乙女は、このままで幸せだと思うようになる。しかし、子どもも生まれ、歳を重ねるにつれて、両親にもう一度会いたくなり、元気がなくなり、病気になる

  • 夫は、病気の妻が元気になるならと、隠しておいた衣を返す

    乙女は、衣を見ると元気を取り戻し、子どもたちを連れて異界に帰ることにする。

  • 乙女は、夫に自分の居場所を教え、去る

    あなたは連れて行けないが、自分の力で来ることができたら向こうで暮らせると告げ、居場所を教えて、去る。

  • 夫は妻を捜しに行く

    異界へいくための道を、3人の隠者にたずねる。道はわかったものの、自分の力だけでは行けない。3人の泥棒から魔法の品物をだましとり、それの力で異界に着く。

  • 妻は別の男と結婚しようとしている

    両親からそうするように言われて。そして夫がなかなか来ないので、もう来れないのだろうという思いもあり。

  • 夫は妻と異界で暮らすことになる

    夫が到着したと知り、妻と子どもたちは喜ぶ。幸せに暮らす。(幸せに暮らす前に、両親による3つの難題とかがあってもいいかも?)

3のアレンジ。私はこの話、男が服を盗んで女がしかたなく結婚するという設定がどうしても、なんかなぁ、納得できないんですよね…。^^;

なので、その納得できない気持ちをどうしたらカバーできるのかを考えました。これはもう、女も男をものすごく好きになって、このままでいいとすら思わせる、運命の出会いにするしかない。運命が男に盗みをさせたのだと。

アレンジした筋書き(プロット)、どうぞ作品にお使いください

あまり上出来とは言えない再構成ですが、この筋書きを楽しんで、さらにご利用いただけたら嬉しいです。ご自身の小説やマンガなどのたたき台にしたり、またはこの筋書きをそのまま使って作品に仕上げたりなど。

私はこんなことをただ好きでやっています。筋書きというものはきちんと作品にしなければ見てもらえない。でも作品にできるのはほんの少し。作品にできなかった筋書きは私の手元だけに残ります。それってなんか寂しい。(素材が大好きな「昔話」だからそう思うのかも。)

それよりも、こうして公開することで楽しんでもらえるなら、筋書きのままでもいいんじゃないかな…。それに、作品にするのはしんどいです。元気で時間のあるときにしかできません。(いちばんの本音はここですね。笑)

筋書きなんかを公開する理由はこんな思いからです。なので、ご遠慮なくどうぞ。もし本当に作品のきっかけとして使っていただけたら幸せです。

ただ1点、筋書きを文章そっくりそのまま転載することはおやめください使っていいのは筋書きの内容だけです。どうぞご了承ください。

話型の情報

国際昔話話型カタログ 分類と文献目録を参考に記事を書いているので、カタログの話型を記しておきます。

話型カテゴリ魔法昔話>超自然の、または魔法にかけられた妻(夫)またはその他の親族>妻
話型No.400
話型タイトルいなくなった妻を捜す夫
一般的なタイトル
日本に類話は?ある

参考文献(出典)

国際昔話話型カタログ 分類と文献目録
ハンス=イェルク・ウター 著
加藤耕義 訳
小澤俊夫 日本語版監修
小澤昔ばなし研究所

(3)は日本の羽衣ににています

他は概要をご覧ください。

まとめ

昔話の話型「いなくなった妻を捜す夫」をご紹介し、そだひさこアレンジの筋書きも添えました。少しでもお暇つぶしになれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

作品にしてみました! 運命の出会いの話には、やっぱりできなかったよ… ^^;
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