【踊ってすり切れた靴】姫の靴がすりきれる理由を突き止めた男が姫と結婚する

魔法昔話306【踊ってすり切れた靴】


Photo by Michael Afonso on Unsplash

こんにちは。サイト管理人そだひさこです。

きょうは、私の人生を変えた(!)昔話、「踊ってすり切れた靴」をご紹介します。

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「踊ってすり切れた靴」あらすじ紹介

12人のお姫さまたちが、毎晩靴をボロボロにはきつぶしてしまう。
寝室には鍵がかかっているので、どこにも行っていないはず。

父王は、姫が毎晩どこに行っているのか突き止めた者を、姫の一人と結婚させると宣言する。
ただし、失敗した者は首を切られる。

ある男が、姿の見えなくなるマントを手に入れる。
男は父王のいる城に行き、謎を解きたいと申し出る。

男はお姫さまたちの寝室のとなりの、続きの間に案内される。
お姫さまが睡眠薬入りの飲み物を持って来るが、男は飲むふりをしてこっそり床にこぼし、眠ったふりをする。

真夜中になるとお姫様たちは身支度をし、ベッドを床に沈め、あらわれた階段を降りていく。
男は姿の見えなくなるマントを着て姿を消し、あとをついていく。

階段を降りるとそこは地下の世界だった。
男は地下の世界で、12人の王子たちと踊りあかすお姫さまたちを見る。

翌朝、男は父王に、地下の世界で見たことすべてを話す。
そして地下の世界から持ってきた証拠の品を見せる。

お姫さまたちは、二度と地下の世界へ行くことはなくなった。
男はお姫さまと結婚する。

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国際昔話話型カタログより(文章はそだひさこが書きました)。

カタログでは「若者」となっているのですが、私の読んだ話では少し違いました。
王に一番下の(若い)お姫さまをやると言われたのに「自分はもういい歳だから」一番上のお姫さまと結婚する、という内容でした。
なので、このあらすじでは「男」としています。

お姫さまたちも、「姫(たち)」とだけ書かれています。
が、私が読んだ話では12人でしたので、また流通している絵本などもそのようなので「12人のお姫さまたち」としています。

【男が謎を解いて姫と結婚するまでの道のり】の図


美しく華やかな場面がたくさんある物語ですが、こうしてみるとそれらは物語を美しく華やかなものにするために用意されたものでしかないとわかります。

でもその美しい場面や小道具などなどが、その物語の印象のすべてになってしまうことは、けっこうよくあることなのだと思います。

そう考えると、この図をもとに、もっと別のお話がどんどん作れてしまうような気もしてきます♪

ストーリーを吹き出しで追ってみる

結婚の条件が提示される

まず、物語で解かれるべき謎が提示される

12人の姫たちは、夜、寝室に鍵がかかっているにもかかわらず、朝になると靴がすり切れている。

王

家来たちに寝室のドアや窓を一晩中見張らせたが、誰も外に出ていない。いったい姫たちは夜中に何をしているんだ。

次に、謎を解いたものを姫と結婚させるという王の宣言がなされる

王

姫たちが心配でならん。姫たちがなぜ一晩で靴をぼろぼろにするのか、その理由を突き止めた者を、姫と結婚させてこの国の王にする!

王

でも、失敗したら首を切るからね

主人公が出発する

主人公はさえない男である。

男

職を失ってしまって自由の身だ、運試しに出かけるか。でも失敗したら死ぬんだよな…

姿を消せる道具を手に入れる

男が迷っていると、見知らぬ老女が声をかける。

老女
老女

これ、そこを行く男よ。おまえさん、姫の謎を解きにいくつもりだね。

男

ああ、そのつもりだが…、まだ死ぬのはいやだし、迷っているんだ。

老女
老女

大丈夫、これを持っていきなさい。それを着れば、お前さんの姿は誰にも見えなくなる。

男

マジ?スゴいな。

老女
老女

それから、城で出される飲み物は睡眠薬だから、一滴も飲んではならんぞ。飲んだふりをして、捨ててしまうのだ。

男

わかったよ。ありがとう。

老女はいつの間にか姿を消している。

見つからずに姫の後をつける

男は城に着くと、12人の姫たちの寝室の、続きの間に案内される。

姫

さあ、お疲れでしょう、美味しいワインを召し上がれ。

男は助言の通り、ワインを飲み干すふりをしてこっそり床にこぼす。そして言う。

男

ワインを飲んだら眠くなってきた。少し横にならせてもらうよ。

男は横になって、眠ったふりをする。深夜12時になると、12人の姫たちは、男がいびきをかいて眠っているのを見て安心し、身支度を始める。

姫

かわいそうに、あの男も首を切られるのね。

姫

そうね、でも仕方ないわよ。

姫たちの身支度が終わると、一番上の姫が自分のベッドを床に沈める。ベッドが地の底に沈んだその後には、地下への階段があらわれる。

姫

さあ、行くわよ!

男も姿の消えるマントを着て、姫たちの後をつける。

男

 

すべてを目撃する

階段を降りるとそこは地下の世界だった。街路樹の枝には金の葉、銀の葉、ダイヤモンドの葉がついていた。男は枝を折ってポケットに入れた。

男

 

姫

ねえお姉さん、今、枝を折る音がしなかった?

姫

何も聞こえないわよ。

やがて大きな川に出ると、12人の美しい王子がそれぞれの小舟で姫たちを迎えに来ていた。姫たちは小舟に乗った。
男は、12番めを歩いていた末の姫の小舟に乗った。

男

 

姫

ねえ、お姉さん、私の乗っている小舟がいつもより重いのよ。いつもはこんなに深く沈まないのに。

姫

何を言っているの、何か思い違いをしているだけよ。

向こう岸に着くと、姫たちは美しい宮殿に入っていった。そこで姫たちは美しい王子たちと一晩中踊った。男は末の姫の飲み物をこっそり取って、そのグラスをポケットに入れた。

男

 

夜明けが近づくと、姫たちは帰路についた。男は姫たちの後を歩いていたが、姫たちの寝室へ続く階段へくると、姫たちを追い越してすばやく駆け上がり、部屋に戻って横になった。
戻ってきた姫たちは口々にこう言った。

姫

あら、あの人、まだいびきをかいて寝ているわ。かわいそうに。

真実を明らかにする

翌朝、男は王に呼ばれ、姫たちの靴がすり切れている理由をたずねられる。

男

お姫様たちは深夜12時になると身支度を始め、床にあらわれた階段を降りて地下の世界へ向かわれました。

王

なんと、地下の世界とな!

男

地下の世界では、美しい王子の姿をした異界の者たちがお姫様たちを迎えました。

王

い、異界の者たちとな。

男

お姫様たちは一晩中、異界の者たちを相手に踊っておいででした。

姫

待って!あの方たちは王子様よ!異界の者なんかじゃないわ!

王

姫よ、本当にそこへ行っていたのだな…?

姫

……

証拠を見せる

父の追求に、姫たちは困惑する。

姫

私たちは確かに出かけたけれど、そのときあなたはいなかったわ。私達が何をしていたのか、わかるはずがないわ。

姫

そうよ、でたらめを言っているだけよ。

王

ふむ。男よ、自分の言っていることが本当だと、どうやって証明するかね?

男はポケットから、金の葉のついた枝と、銀の葉のついた枝と、ダイヤモンドの葉のついた枝と、姫の飲みかけのグラスを出して言った。

男

これが、地下の世界の街路樹の枝です。この世のものではありません。
そしてこれは、地下の世界で末のお姫様がお飲みになられていたお酒のグラスです。

姫

……

王

姫たちよ、やはり本当なのだな?

姫

…ええ、そうよ。その通りよ。

姫と結婚し、王になる

姫たちはその晩から、地下の世界へ行くことができなくなった。

王

男よ、よくぞ姫たちを異界の者から救ってくれた!さあ、12人の姫たちの中から、結婚相手を選びなさい。

男

では、一番年上の姫と、結婚させてください。

こうして男は、姫と結婚し、王の後を継ぐことになった。

Little boy
Little boy

めでたし、めでたし。

補足など

この話はとても好きな話です。子供の時に本で読んで、「一番上の姫の寝台が、ドオオオオオンと音を立てて床に沈んでいき、その後に階段があらわれる」という、自分の想像力ではまかなえない不思議な場面が忘れられなくて、大人になっても心に残り続けていたお話です。

体調不良で落ち込みそうだったときに、ふっとこの場面が思い浮かんで、すぅっと元気がわいてきたという経験があります。
それ以後、もともと好きだった昔話にさらにのめりこんで、こんなブログを書いているというわけです。

というわけでつい、「ストーリーを吹き出しで追ってみる」を書くのに夢中になってしまいました(ほかの記事より会話が具体的だったり…)。