【姫と鬼女】困難を乗り越え再開した恋人は他の人と結婚する寸前だった

現実的説話(ノヴェラ)871【姫と鬼女】


Photo by Kevin Tadema on Unsplash

こんにちは。サイト管理人そだひさこです。

きょうは、「姫と鬼女」をご紹介します。
禁じられた部屋、肖像画、地下の世界など、昔話らしい想像を広げてくれる物語です。

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「姫と鬼女」あらすじ紹介

姫が、禁じられた部屋をのぞくと、そこには美しい男の肖像画がある。
姫は肖像画の男に恋をする。

魔法使いが姫を男のところへつれていく。
姫と男は恋人同士になる。

しかしあるとき、姫が長居をしたために夜が明けてしまう。
魔法使いは太陽に見つかって、命を落とす。

姫は帰れなくなり、宮殿の召使いとして働く。
しかしそこで姫は人食い姫に脅かされる。

姫は窓から逃げ、井戸を降りる。
そこは地下の世界だった。

姫は地下の世界で悪魔に会う。
悪魔は人食い姫の脳みそを鍋で煮ている。
姫は悪魔の呪いにかかって人食いになっていたのだ。

姫は鍋をひっくり返し、地上に戻る。
人食い姫はもう人食いではなくなり、もとの姫に戻っている。

呪いを解かれた姫はそのお礼に、姫を恋人のところにおくりとどける。
しかしなんと、姫が到着したのは恋人が他の女と結婚式を挙げる寸前だった。

恋人は姫との再開を喜び、結婚する。

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国際昔話話型カタログより(文章はそだひさこが書きました)。

話型のタイトルは「鬼女」となっていますが、本文では鬼女という言葉は出てこず、「人食い姫」となっています。

【姫の結婚までの道のり】の図

記事公開当初の図を、もっとシンプルに直してみました。

本当は地下の世界の図もいらないと思ったのですが、
あまりに味気ないのもさみしいので、と。

すじとしては五角形のみで。
昔話っぽいいろんな想像(※)をまわりに思う存分書き込む…の、さいしょの書き込みということで。

(※どうして帰れなくなったのか、どうして鬼女に狙われることになったのか、どんな方法で鬼女を助けたのか、、あるいは、禁じられた部屋はどこにあって、どうして姫はそこに入ることができたのか、どんな不思議な方法で肖像画の人物に会いに行けたのか、等々。)

ストーリーを吹き出しで追ってみる

禁じられた部屋をのぞく

開けてはいけないとされている部屋を、好奇心に負けてのぞいてしまう。

姫

我慢できなかったのよね。

若者の肖像画に恋をする

部屋の中には美しい若者の肖像画がある。姫はその若者に会いたくてたまらなくなる。

美しい若者
美しい若者

←肖像画の若者

会いに行く

遠い外国である、身分の高い人物であるなど、通常の手段では会いに行くのが困難である。

姫

どこの誰かもわからないし、どうやって会いに行けばいいのかわからないわ。でもどうしても会いたいわ、会いたくてたまらないわ。

魔法使いが助けてくれる

魔法使いがこっそり若者のところへ連れて行ってくれる。姫と若者は会った途端に恋人同士になる。

魔法使い
魔法使い

私が、夜中のうちにこっそり連れて行ってあげますよ。

でも太陽がのぼる前に戻ってこれなければ、私は死んでしまいます。

帰れなくなる

あるとき、姫が別れを惜しんで長居をしたために太陽が昇ってしまい、帰路の途中で魔法使いは太陽にあたって死んでしまう。

姫

帰り方もわからないし、彼のいるところもわからないのよね。

一人になった姫はどこへ行ったらいいかわからず、宮殿で召使いとして働くことになる。

鬼女に狙われる

宮殿には人食い姫がいる。

鬼女
鬼女

この新入り、猛烈に気に入らん!食ってやるぞ!

井戸に逃げる

姫

人食い鬼女に食われるくらいなら、井戸に飛び込んだほうがマシよ!

井戸に飛び込むと、井戸の底は地下の世界に繋がっていた。

地下の世界には悪魔がいる。

悪魔
悪魔

鬼女は本当は普通の女だったのだ。

しかしワシがあの女の脳みそをこの鍋で煮続けている限り、あの女は鬼女でいなければならないのだ。ガハハハハ!

姫は鬼女に悪魔の呪いがかけられていることを知る。

姫

そうだったの、なんて気の毒なことなのかしら…

鬼女を助ける

姫

そうだわ、このお鍋をひっくり返してしまえばいいんじゃないかしら。えいっ!

姫は鍋をさかさまにひっくり返し、地上に戻る

もと鬼女
もと鬼女

なんだか急に心の闇が消えた気がするわ。スッキリ!

恋人のところに行く

もと鬼女
もと鬼女

呪いを解いてくれたお礼に、あなたの恋人のところへ連れて行ってあげる。

姫

本当!? 嬉しいわ、ありがとう!

鬼でなくなった姫が、魔法を解いてくれたお礼に恋人のところへ連れて行ってくれる

恋人と結婚する

姫が恋人と再開したまさにその時、恋人は他の女と結婚式を挙げる寸前だった

美しい若者
美しい若者

もう会えないと思ってすっかり諦めていたが、戻ってきてくれたんだね!

もちろん君と結婚するよ!

姫は恋人と結婚する。

Little boy
Little boy

めでたし、めでたし。

補足など

禁じられた部屋を開ける」というパーツは多くの話に出てきます。この話では肖像画に恋をする結果になったけれど、別の話では部屋の中でたくさんの娘たちが無残に殺されていたというのもあります。日本の昔話にも「見るなの蔵」というのがあります。

また、女性の肖像画に男性が恋をする話もあります。日本の絵姿女房という話も、肖像画に恋をするのパーツが使われています(この場合は、男の女房の絵姿を見た殿様が女房を横取りして自分のものにしてしまうという、驚きのストーリーになっていますが)。

主人公を助けてくれる役目の登場者は二人出てきます。一人目は魔法使い、二人目はもと鬼女。この二人はタイプがちょっと違っています。

  • ただ助けてくれる
  • 何かと交換で助けてくれる

二人目のもと鬼女は、自分にかけられていた呪いを解いてくれたお礼として、姫を恋人のところに連れて行きます。きびだんごをくれたから家来になるとか、命を救ってくれたから窮地のときに助けに来てくれるとか、わかりやすい交換が成り立っています。

でも、一人目の魔法使いは、なんの見返りもなく、ただ助けてあげたいからという理由で行動しているように見えます。「困ってたから手を貸した」という、日常でよくあることが表現されているのかなと思います。
昔話は主人公がストーリーをめでたく終わらせるという目的があり、助けてくれる登場者は欠かせない存在です。本人が助けようと思っていても、いなくても(知らずに、結果として助けてしまった、とか)。

それから、最後に姫が恋人のところにやっとたどり着いたとき、よりにもよって恋人は他の女と結婚式を挙げる寸前だった!というビックリな展開。

昔話では「ちょうどそのとき」という言葉がよく使われますが、いろんな出来事がちょうど一致するという特徴があるためです。一言も喋らずにシャツを編み続けている主人公に火あぶりの炎が届くかというちょうどそのときに白鳥(兄たち)が飛んでくるとか、いばら姫が眠りから百年経って目を覚まそうとするちょうどそのときに王子がキスをするとか。

結婚式を挙げる寸前に本当の相手があらわれるというパーツは、王女を竜から救ってくれた若者が姿を消したのをいいことに「自分が竜を退治した」と名乗り出た偽物が王女との結婚を迫るという話にも使われています。

この話でこのパーツは必要なのかなと思うけど、なくても話が成り立ちはするけれど、最後のこの衝撃のせいでこんな記事タイトルになってしまいました。