【ランプシニトス】泥棒が王を感心させて姫と結婚する

現実的説話(ノヴェラ)950【ランプシニトス】


Photo by Tim Evans on Unsplash

こんにちは。サイト管理人そだひさこです。

きょうは、「ランプシニトス」をご紹介します。

私はこの物語を読んだことがありませんでしたので、国際昔話話型カタログであらすじを知って衝撃を受けました・・・

「ランプシニトス」あらすじ紹介

建築家が王の宝物倉をたてるが、壁の石をひとつだけ取り外しできるようにしておく。
そして泥棒二人(建築家とその息子、または建築家の息子二人)が王の宝物倉に盗みに入る。

王は宝物がなくなっていることに気づき、泥棒を捕まえるための罠をしかける。
泥棒の一人がその罠にかかって身動きができなくなってしまう。

捕まった泥棒は、もうひとりの泥棒に「自分の身元がわからなくなるように、自分を殺して、自分の首を切って持ち去るように」と頼む。
もうひとりの泥棒は、いわれたとおりにする。

王は宝物倉に残されていた首のない泥棒の遺体を、表通りにさらす。
遺体を見て動揺する親族を見つけるためである。

母親は泥棒に、遺体を家に運んでくるように頼み込む。
泥棒は変装して王の護衛たちに近づき、王の護衛たちを酔わせて遺体を盗み出す。

王は怒り、泥棒を捕まえるために「すべての男に自分の娘と寝ることを許す」。
しかし王は娘に、やってきた男に「自分がした最も邪悪なことを告白」させることを命じておく。
そして泥棒がやってきたらすばやく捕まえる手はずである。

泥棒がやってくると、姫は泥棒のひたいにしるしをつける。
泥棒は逃げ出し、そのあとで他のすべての求婚者のひたいに同じしるしをつける。

王は泥棒のかしこさに感心してしまう。
そして「娘を泥棒と結婚させる」と宣言する。

泥棒はそれを信じて名乗り出る。
そして「最も狡猾なエジプト人」として栄誉を与えられる。

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国際昔話話型カタログより(文章はそだひさこが書きました)。

※じつはこの記事を書いたあとに、ランプシニトスについて詳細なページをみつけました。

巧妙な盗賊たち――エジプトの文明――

こちらでは建築家と息子ではなく、二人の息子となっています。
父は王の宝庫の石をひとつこっそり細工しておき、亡くなるときにそれを二人の息子に伝える。
そして父がなくなった後、二人の息子が宝庫に入って宝物をもちだした、とあります。

それから、昔話では「姫が泥棒のひたいにしるしをつける」とありますが、それはありませんでした。
「しるしをつける」という出来事は昔話でひじょうによく使われているモチーフなので、昔話として語り継がれる過程で付け加えられたものだと思います。

【泥棒が姫と結婚するまでの道のり】の図


記事公開当初の図を、シンプルに直しました。
具体的なエピソードもちょっと盛り込みたいという欲が出ましたが、ぐぐっと我慢しました・・・

どんな罠か、どうやってかわすのかを考えるのはプロットづくりの楽しみということで。
(この具体的な出来事の内容が、話の印象を決めることになるようです。)

ストーリーを吹き出しで追ってみる

「建築家とその息子」のほうを採用しました。

王の倉に忍び込めることを知る

建築家とその息子は王の宝物倉を建てることになる。

王

優秀な建築家に、宝物倉を建ててもらいたい!

ところが、建築家は

建築家
建築家

宝物倉の壁に、だれにも見つからない通り道をこっそり作ってみようじゃないか。

息子
息子

さすが父さん、腕試しだね!

仲間と王の倉に盗みに入る

宝物倉ができあがると

建築家
建築家

さて、あの通り道を試してみようじゃないか。

息子
息子

オッケー!

そして、侵入に成功した二人は

建築家
建築家

うまく忍び込めたぞ。宝物を少しいただいて帰ろう。

息子
息子

えっ!父さんまさか、最初から…?

王が罠をしかける

泥棒に気づいた王は激怒して宝物倉に罠を仕掛ける

王

むむーっ!宝物が盗まれただと!直ちに罠を仕掛けるのだ!

ところが建築家は

建築家
建築家

息子よ、また宝物倉に行ってみないか。

息子
息子

父さん、頼むから今日で最後にしてよ。

止めないのか、息子よ…

罠をかわす

再び侵入した二人だが、父が罠にはまって動けなくなってしまう。

建築家
建築家

息子よ、私はもうだめだ。だから私の最後の頼みをきいてくれ。

息子
息子

何でも聞くよ、父さん。

建築家
建築家

お前は、私の頭を切り落として逃げるのだ。
そうすれば私が誰だかわからなくなる。きっとお前も助かるだろう。

息子
息子

と、父さん…。

息子は父の言う通りに、父の頭を切り落として持ち帰った。
王は罠にかかった泥棒の姿を見て激怒した。

王

むむーっ!なぜ泥棒の頭が切り落とされているんだ!これは仲間がいるに違いない!仲間を探すのだ!

再び、王が罠をしかける

王

その頭のない泥棒を、表通りにさらすのだ。泥棒の身内の者は動揺するに違いない。それを見つけて捕まえるのだ!

罠をかわす

表通りにさらされている遺体を見た母は息子に懇願する。

母

ねえ、お父さんの遺体をあんなふうにしておくのを私は耐えられないよ。
どうかお父さんを家に連れて帰ってきておくれ。(涙)

息子
息子

すぐに父さんを連れて帰ってくるから、もう泣かないで。

息子は変装して王の護衛たちに近づき、王の護衛たちを酔わせて、父の遺体を盗み出す。

王

むむーっ!泥棒の死体が盗まれただと!いったいどうやって!

王が、三度目の罠をしかける

激怒した王は、娘を巻き込んで泥棒を見つけ出そうとする。

王

姫の結婚相手を探している。国中の男全員に、姫と二人きりになってもらう。その後で、結婚相手を決める!

つかまりそうになる

そして、息子が姫と二人きりになるときが来た。

姫

ねえ、今までしたことで一番わるいことって何?
それがもし、私が聞いた中で一番わるいことだったら、結婚相手にはあなたを選ぶわ。

息子
息子

そ、そうなの?

ち、父の首を切ったことかな…
あと、これはそれほどではないけど、宝物を盗んだこともあるよ。

姫

素敵!あなたが泥棒ね!

姫は息子の額に染料で印をつける。

息子
息子

(はっ、まずった…)

罠をかわす

息子は同じ染料で、国中の男の額に同じ印をつける。

王

娘よ、よくやった!ではこれから外へ出て、額に印のある男を探そうではないか!

姫

はい!

ところが、すでに国中の男の額には、息子と同じ印がつけられていた。

王

な、なんと! 皆の額に、同じ印があるではないか!

姫

そ、そんな…

王は「泥棒に姫をやる」と宣言する

王

なんて賢い泥棒なんだ…、これは参った。こんなに賢い男なら、喜んで姫の結婚相手に迎えようじゃないか!

姫

えーっ、マジですか、おとうさま…

名乗り出て、結婚する

息子
息子

それが本当なら、私は名乗り出ます。
王様の宝物倉から宝物を盗んだ泥棒は私です。

な、名乗り出るんかい! これも罠だとは思わないか?
息子は姫と結婚する。

Little boy
Little boy

めでたし、めでたし。

その後の彼の運命を知りたい…

補足など

この話は読んだことがなかった(と思う)ので、王が姫を使って泥棒探しをしようとするあたりは驚愕しました。だって泥棒を突き止めるために、王はすべての男に自分の娘と寝ることを許すと…、お父さん!!!

いやその前に、仲間が捕まった泥棒の首を切り落とすって…すぐに意味がわかりませんでした。けっこうな衝撃を受けました。(-_-;)

壁の石のひとつをわざと緩いままにしてある「秘密の通り道」が策略によって発見されるとあるのですが、どのような策略なのかわからないので説明文では省略しました。図でも省いてしまいましたが、泥棒が入ったことが判明し、王が泥棒を捕まえるための罠を仕掛けるという流れにはそれほど重要なパーツでもないかなと思います。

最後のところですが、書籍では泥棒は自分が何者かを明かし、すべての中で最も狡猾なエジプト人として栄誉を与えられる。とあります。でも私は王の宣言も4つめの罠ではないかと思ってしまいました。

緑文字の部分は私のつぶやきです。あまりお気になさらぬように…

いろいろ衝撃的な話型でございました。

このサイトについてにも書いていますが、「ストーリーを吹き出しで追ってみる」の部分は私の解釈(たぶんこんなふうだろう、と思う)で付け加えているところが本当にたくさんあります。

たとえば、姫がつける印がどんなものか記述がないので、染料で、というふうにしました。

それから、「宝物倉を建てた二人が泥棒に入る」という記述はなかったのですが、建築家と記述があったので、たぶんこうだろうと思って(図も含めて)書きました。